齋藤俊治税理士事務所

土地や建物を売却するタイミングは?

  国税庁は令和8年7月1日に、令和8年分の路線価を発表しました。

  全国の標準宅地における路線価は、前年比2.9%上昇し、5年連続で前年を上回りました。

  インバウンド需要の拡大や都市部の再開発、住宅需要の堅調さなどを背景に、多くの地域で地価が上昇しています。

  そこで、今回は、土地や建物を売却するタイミングを税金面から検討してみます。

  まず、土地建物の売却益に係る税率は、所有期間により次のとおりになっております。

  例えば、各物件の課税される譲渡所得金額が1000万円であった場合の税金は、

   1短期譲渡所得 3,963,000円、2長期譲渡所得 2,031,500円、3長期譲渡所得(軽減税率の特例) 1,4210,00円

  以上のとおり、1短期譲渡所得と3長期譲渡所得(軽減税率の特例)との税金の差額は、2,542,000円となります。

  つまり、所有期間によって税金が大きく異なるため、売却するタイミングは、所有期間が一つの判断基準になります。

  なお、土地や建物の売却に係る税金の原則的な仕組みを説明しますが、説明以外にも様々な特例がありますので、ご注意ください。

 <概要>

   土地や建物を売却した場合、譲渡所得として他の所得と区分して税金を計算します。

   譲渡所得には、所有期間によって短期譲渡所得か長期譲渡所得に分かれ、適用する税率が異なります。

   なお、譲渡所得の所有期間の判定は、土地や建物を売った年の1月1日現在で5年(10年)を超えるかどうかになります。

  【間違いやすいポイント:売却日ではありません】

 <課税譲渡所得金額の計算>

   課税譲渡所得金額は、次の算式により計算します。【課税譲渡所得金額の計算方法】

   ① 譲渡価額    ・・・譲渡代金や固定資産税等の未経過清算相当金額の合計金額。

   ② 取得金額・・・ 売った土地や建物を買い入れたときの購入代金(建物は減価償却費相当額を控除します。)や仲介手数料などの合計額。

     なお、実際の取得費の金額が譲渡価額の5%に満たない場合は、譲渡価額の5%相当額を取得費として計算することができます。

   ③ 譲渡費用・・・仲介手数料、測量費など土地や建物を売るために直接要した費用、貸家の売却に際して支払った立退料、建物を取り壊して土地を売ったときの取壊し費用など。

   ④ 特別控除額・・・(例)本人の居住用の家屋と土地を売ったとき:最高3,000万円

<税額の計算>

  課税譲渡所得金額に税率を掛けて税額を計算します。

  税率は、「長期譲渡所得」又は「短期譲渡所得」によって、下の表のように異なります。

  なお、所有期間が10年を超えたマイホームを売却した場合の軽減税率の特例があります。

<具体例>

  土地や建物を売った年の1月1日現在で、その土地や建物の所有期間が5年を超える場合は「長期譲渡所得」に、5年以下の場合は「短期譲渡所得」になります。

  例えば、令和8年中に売った場合は、その土地や建物の取得が令和2年12月31日以前であれば「長期譲渡所得」に、令和3年1月1日以後であれば「短期譲渡所得」になります。

 【誤りやすい事例】~所有期間の判定~

  令和3年10月1日に購入したマンションを令和8年11月30日に売却した。

  購入から売却までの期間が5年2か月であることから、長期譲渡所得として申告した。

(所有期間の判定)

  所有期間の判定は、売却した年の1月1日現在で5年を超えるかどうかにより、判定します。

  したがって、令和8年1月1日時点の所有期間は、4年4か月であり、所有期間が5年以下であることから、長期譲渡所得ではなく、短期譲渡所得に該当します。

<参考>マイホームの買換え(交換)の特例

  マイホームを売った年の前年から翌年までの3年の間にマイホームの買換え(交換)をした場合は、譲渡価額が1億円以下、売った年の1月1日現在で所有期間10年超、居住期間10年以上などの、一定の要件に該当する場合には、その譲渡益の課税を繰り延べる特例が受けられます。

  ただし、3,000万円の特別控除の特例又は軽減税率の特例とは、選択適用となります。

 【参考文献:国税庁パンフレット「暮らしの税情報」(令和8年度版)『土地や建物を売ったとき』】

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